内視鏡検査の特徴について
内視鏡検査および治療の最大の特徴は、消化管の中を鮮明に観察できることと、外科手術に比べてとても低侵襲に上部消化管の検査・処置をおこなうことができることです。動物と飼い主様の負担が少なくすむ「優しい」医療であるといえます。
当院は動物専用のCCDカメラによるビデオスコープを導入いたしました。従来のファイバースコープに比べてより高画質となり、さらに正確な診断・処置が可能となりました。
① 生検検査の場合
慢性の嘔吐や下痢、血便などで消化管に問題がありそうな時、内視鏡検査をおこなうことがあります。食道・胃・十二指腸の上部消化管や結腸・直腸の下部消化管の粘膜を観察し、必要に応じて生検(小さい組織をとること)をすることができます。この組織を病理検査することによって、がんや慢性腸疾患を診断することができます。
② 消化管内異物の場合
動物は時として食べ物でないもの(異物)を飲み込んでしまうことがあります。これらは嘔吐や下痢の原因になったり、腸閉塞をひきおこして命にかかわる場合もあります。内視鏡検査は主に食道や胃の中にある異物を確認し、多くの場合はそのまま摘出することができます。
例えば胃の中にある異物の場合、吐かせる処置をしても出てこない時には開腹手術で異物を摘出しなければなりません。手術後は通常3日~7日の入院が必要になります。しかし内視鏡で異物が摘出できた場合には、開腹手術をする必要はなく、0日~3日で退院することができます。
【ご注意ください】
- 異物を確認できた場合でも、異物の形・大きさ・性状・数・部位などによっては内視鏡で摘出できない場合があります。その場合、異物摘出手術が必要になる場合があります。なお、異物摘出手術は状況により同時におこなう場合と日時をあらためておこなう場合とがあります。
- 上部消化管の内視鏡検査は主に食道・胃・十二指腸の上部を観察することができます(条件により十二指腸が観察できない場合もあります)。よって、それより下部(小腸・盲腸・大腸など)の異物の有無を確認できるものではありません。
- 内視鏡検査は全身麻酔下でおこないます。そのため、動物の状態により検査が実施できない場合があります。