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左肺前葉にみられた肺葉捻転の犬の1例

亀戸動物総合病院 大平 憲二

はじめに

肺葉捻転は肺葉が肺門部付近で軸方向にねじれ、呼吸困難を呈する疾患である。小動物臨床領域で遭遇することは稀であるが早期に診断、治療を行わなければ死亡する可能性が高い疾患である。発生素因として、自然発生、胸水貯留や外傷、外科手術後等の各種の原因による二次的な発生がある。今回原因不明の胸水貯留と呼吸器症状を呈した症例に対し、胸部X線検査、胸部超音波検査により肺葉捻転を疑い、胸部CT検査による精査の上、肺葉捻転と診断し肺葉切除術を実施し症状の改善を認めた症例を経験したので報告する。

症例

シェットランド・シープドッグ、雌、9歳齢。二週間にわたる発咳と食欲低下、受診当日の発咳に伴う血様泡沫喀出を認め本院受診。

各種検査

発熱、呼吸速迫、胸部X線検査により前胸部の不透過性亢進、左肺前葉領域に無気肺部、胸水性状は血様滲出液であった。また胸部超音波検査により左肺前葉領域に無気肺を疑う実質性構造が認め、左肺前葉の肺葉捻転を疑い、鑑別診断を行うため第4病日に胸部CT検査を実施。胸部CT検査にて胸水貯留、左肺前葉基部からの気管支走行の消失、血管造影時の左肺前葉の血管走行の消失、左肺前葉実質の軟部組織様陰影、左肺前葉後部に泡沫上の気体を疑う所見がみられた。このことより左肺前葉前部、後部の肺葉捻転と診断し同日、左第5肋間開胸、胸骨正中切開にて左肺前葉の肺葉切除を行った。

前胸部の不透過性亢進像 前胸部の不透過性亢消失
捻転により気管支、血管の走行が途切れ含気不全を起こした左肺前葉部の3D画像  

考察

肺葉捻転の診断において胸部X線検査、超音波検査のみでは肺腫瘍や肺炎との鑑別は困難であり、また捻転した肺葉の捻転部位、捻転方向の評価も難しい。無麻酔で行う検査にて早期に仮診断を下し胸部CT検査を行うことが重要である。今回実施した胸部CT検査では気管支の走行の消失、血管走行の消失、肺実質の軟部組織様陰影などの所見が得られ、本症例においても胸部CT検査は肺葉捻転の診断に非常に有用と考えられた。また本症例では胸水貯留を起こす基礎疾患や、外傷等の二次的に肺葉捻転が発生する素因が認められなかったため自然発生の肺葉捻転と考えられたが、通常胸郭の深い犬種での肺葉捻転の自然発生例では右肺中葉が好発部位とされているため、今回の左肺前葉での自然発生は珍しいケースであったと思われる。
本症例では肺葉切除後の呼吸状態は大幅に改善し、胸水の再貯留も認められておらず経過良好である。肺葉捻転に対し早期の診断および外科的処置が奏功した一例であった。

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